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『読みました』報告スレッド その2

1 :名無しのオプ:2010/09/09(木) 22:31:06 ID:DvRfdtwd
読んだミステリーの感想を書きましょう。

750 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2011/02/27(日) 16:17:22.28 ID:MKxju6GI
水上勉「寺泊 わが風車」を読む。
一時期(清張先生を筆頭とした社会派ブームの頃)にはミステリも書いた作家
の1冊として紹介しておきたく思う。
昭和50年代前半と水上氏が作家として最も油が乗った頃に書かれた十八番の
ジャンル私小説を集成したファンなら絶対に読み逃せない作品集である。
いずれも作者の実体験に基づき、人生の断面を切り取って見事な出来栄え。
粗製乱造された新刊ミステリに耽読している輩には突き付けて読ませたいもの
となっておる。
作者の青年期における寺修行の事実を知っていると、表題作のひとつ「寺泊」はタイトルまんまの話かとの先入観を抱いてしまったが、
本作は作者と思われる主人公が北陸の寺泊海岸で見かけた情景を描いた作で
ある。
この作から始まって、女郎蜘蛛を飼う少年期の友人を描いたホラータッチとも読める「太一」、亡くなった叔父の思い出を描いた「千太郎」、
タイトルそのままに棗に対する思い出を綴った「棗」、
若い頃に出会った遊妓とのエピ「冬日帖」、
作者の8月15日体験を綴る「リヤカーを曳いて」
ある寺の大黒の行く末を描く「山寺」、母親と同居していた別れた女との思い出を描く「踏切」、これら前半に収録された作品群は事件らしい事件は無いものの、
それゆえに私小説として一級品と言い得る出来栄えで読ませるものあり。
これに対し後半に収録された「雪道」「短かい旅」(生霊?ホラー要素はあり)
「わが風車」「墨染」「また、リヤカーを曳いて」「ながるる水の」は
表題作を除き、今ひとつという感あり。
特に最後にあげた作は作者の師匠である宇野浩二作品にも親しんでいないと、
強い興を惹くものではなかろう。ミスオタにはホームズものに関する著作で
も知られる長沼弘毅氏(必ずしも好意的に描かれてはいないが)が登場するのが留意点な程度か。

751 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2011/03/05(土) 21:02:39.77 ID:n+LsilAZ
山本周五郎「赤ひげ診療譚」を読んだ。
言わずと知れた周五郎作品の代表作のひとつ。
黒澤映画や小林桂樹氏主演のテレビシリーズも懐かしいものあり。
ミステリとして注目すべきは、解説(ミステリの翻訳でも知られる中田耕治氏が担当)でも指摘されているが、主人公の青年ドクター保本登が入院中の
美しい狂女に殺されかける第1話(「狂女の話」)の無理やりな二人一役ネタ、
長年における店賃無料の謎解き、落とし穴ネタもありな第7話「おくめ殺し」
に注目ってところかな。
当初は不満分子だった保本が、真の医療とは何かに気付き施療院に残る決意を
するラストは予想がついたが、同僚医師森半太夫の労咳の経過、お雪との関係はどうなったか、不満分子の津川医師の行く末等々、気にかかる点は全て書かれぬままに終る。
構成としては、保本の心理描写はあるものの、赤ひげこと新出去定をはじめ
他の登場人物のそれが皆無なのが残念かも。
これがあると、更に作品の深みが増したのにという感がある。
ただし、青年の精神的成長を描く教養小説としてはこれで良しとも言えようか。

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